101号 「昭和」のやり方
「かわら版」の完全版はこちら → 第101号 30年7月号
「新しい時代へ」
皆さんの会社でも平成生まれの方が少しずつ増えてきたのではないでしょうか。
その平成も来年の4月30日で終わり、次の元号は漢字2文字で明治、大正、昭和、平成のイニシャルとなる「M、T、S、H」は使えないようです。
いずれにしても新しい時代のスタートがどのような元号になるか楽しみです。
さて、最近知り合ったある経営者の言葉が印象的でした。雑談のなかでの「あの人たちは何も考えていない・・昭和のやり方」という同業者に対する批評です。
彼(以下Aさん)の事業は「理容業」です。正直「理容業」はあまり儲からない業種と思っていましたがAさんは4店を経営し多額の納税をしています。
雑談のなかでの彼の経営理論(ビジネスモデル?)を聞いてちょっとした着眼点の違いが成功と失敗の分かれ道になるという事を今更ながら考えさせられました。
従来から当たり前と思われている(昭和)のやり方を変え、時代にあった又は時代を変えるやり方でなければ事業は存続できないのかも知れません。
この事務所通信も101号となり気持ち的には新しい時代の視点で何かをお伝えできればと考えています。
「バックナンバー」
ちょうど3年前の事務所通信52号(2014/06)で『「マイナス」するというビジネスモデル』という記事を書きましたので一部改定のうえ紹介します。
最近、駅前やショッピングセンターなどで見かける「1,000円カット(通常より安いお店の略称)」と「通常」の理容室の違いを考えてみます。
不要なものをマイナスする「通常」の理容室では様々な設備が揃っています。たとえばセンスの良い内装、スタッフの充実や気の利いたサービス等があります。それらも含めカット料金が成り立っています。 一方、「1,000円カット」では髪を切るという目的で人が来るため、簡素な内装で理容師とお客さんの会話もありません。つまり、余分な設備やサービスという“人”によっては「不要と思われるものをマイナス」しているのです。 時間をマイナスする次に時間をマイナスする・・という観点から考えてみましょう。10分1,000円カットというネーミングの通り、通常1時間かかる散髪を10分で終わらせます。 仮に片づけ時間を考慮して15分とすると、単純計算では1時間で4人のカット、売上はひとイス4,000円となります。4席あると一時間に16,000円の売上です。 対して通常の理容室では、同じ4席でも1人あたりに1時間はかかると仮定すると単価3,500円で1時間14,000円の売上となります。 両者の差は2,000円ですが一日10時間営業すると一日20,000円の差25日で50万もの差になります。しかも、内装費への設備投資が少なくて済むので会社の利益に貢献します。 LCC、飲食店、アマゾンなどでも価格だけでお客様に選択される場面が増えています。ここで注意が必要なのは単なる「安売り」、「人件費の削減」だけでは企業は存続できないという事です。 |
あらためてこの記事を読み直してみると企業サイドの論理でしか考えていませんでした。顧客の視点が抜けています。
お金をプラスに変える
お客様の視点で考えると・・3,500円毎月かかっていた散髪費用が1,000円で済むのですから2,500円も「得した」事になります。
仮に・・「通常」の理容室と「1,000円カット」の技術的な差が気にならないとした場合には安い方に行くのは当然です。もちろん技術やサービスに価値があると感じるひともいます。
いずれにしてもお客様が何らかの得する店を選択するのですから、先ほど触れた昭和のやり方(単に家に近いだけの昔からある、お金に見合う技量、サービスが無い理容室)は今後通用しないというのも納得できます。
時間をプラスに変える
誤解していましたが・・「1,000円カット」の最大の魅力は安い事ではありません。確かに安いにこしたことはありませんが不要な時間を有効に活用できる事が最大のメリットなのです。
Aさんはショッピングモールにお店を構えています。女性には分からないかもしれませんが・・男性は買い物のお供の「時間つぶし」はなかなか大変です。ところが余分な時間を使い早く散髪できる「1,000円カット」は時間と小遣い節約と一挙両得なのです。
もちろん単に「安いだけ」の理容室もあるでしょうし、少々高くても人柄や技術でお客様に「信頼」させるお店もあるでしょう。
いずれにしても自社(昭和)視点ではないお客様視点で何らかのプラスをお客様の感じてもらえなければ時代に淘汰されます。
たとえば食品、日用品などでは身近な商店が無くなり、お客様にとって便利な24時間営業のコンビニ、品ぞろえ豊富なスーパーが主流となりました。また次の形態としてお店に行かなくても物が買えるネットが売上を伸ばしています。
勿論、古くても大切にしなければならないもの、人と人との触れ合いによりお客様にプラスのメリットを与える事もあります。
ただ変化を拒否し何も変えない惰性の仕事、新たしい事に無頓着な怠慢の結果としてお客様を損させる(プラスを与えていない)昭和のやり方は通じないのは間違いありません。
もうすぐ平成も終わり、新しい時代に突入します。もし、自社の仕事が昭和やり方のままだと気づいたら新しい時代に合うやり方を探してみませんか?