86号 「論語と算盤」
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「人格と技術」
3月16日のオープン戦終了後、日ハムの栗山監督は有原航平投手に「開幕戦を任せた」とのメッセージを記しある本を手渡しました・・。
その本のタイトルは「論語と算盤」、著者は渋沢栄一氏です。
拓銀、サッポロビールなど北海道に関わりのある企業も含め500以上の企業の設立に関与した「日本における資本主義の父」と呼ばれる人物です。その渋沢氏の根本にある考えが「論語と算盤」は両立するというものです。
渋沢氏にはそもそも「商業道徳」という言葉があること自体が気に入らない・・。「算盤」が上手な人には「論語(道徳)」がない。逆に論語(道徳)がある人は「算盤(損得勘定)」が苦手。このような風潮を批判していました。
つまり、お金儲けだけでもダメ、理想だけでもダメ、両者のバランスが大切という事を渋沢氏は提唱していたのです。そう考えると有原選手に「人格と技術」を備えた将来のエース像を栗山監督は求めているのかも知れません。
そういえば ・・ 「〇〇と〇〇」といえば「右手にペン ・・ 左手にアップル」・・合体させて「アポーペン」というが流行りましたね・・。
「経営者 と トライアスロン」
私事ですが・・最近年相応にあちらこちらにガタが来ております。あっちが痛い・・こっちが痛いでTV・新聞広告の「つらい○○はこれで解決!」という甘い誘いに乗りそうなある日、新聞のコラムが目に留まりました。
それは、メルセデスベンツ・ジャパン上野金太郎社長に関する記事でした。大企業の経営者として年間250日程の国内外の出張をこなす一方、週末にはトライアスロンに参加するというスーパーマンぶりです。しかも私と同じ52歳。
名前も金太郎と個性的でスケールがでかい「できる男は生き物として違うな ~ 」と感心して読み進めると・・考えている事も違いました。
「経営資源 と 体力の限界」
上野氏曰く・・「企業経営とトライアスロン」には通ずる部分があると言うのです。
お金の問題、人の問題、売上の問題、仕入の問題等々・・日々経営環境は変動し、何かは足りないけれど・・違う何かは余ったというような資源ギャップの繰返しは中小企業だけの問題ではなく大企業でも同様です。
上野氏は日々変動する経営資源のギャップを調整するのが経営者の仕事と言います。不完全な状況でベストの結果を残す。わずかに残った自分の体力・・どこで勝負を賭けるかを決断する。そこがトライアスロンと通ずるようです。
つまり、資源が不足しているのは自然な状態なのです。
「資源ギャップ と 技術革新」
2010年9月に尖閣諸島沖で起きた中国漁船衝突事件とその後の日中摩擦の結果、中国はレアアースの対日輸出規制を行いました。
当時、ハイブリッド車のモーターなどハイテク製品に欠かせない素材であったこの希少資源は中国が世界需要の90%以上を輸出しその最大の消費国である日本に対する効果的な制裁措置と思われました・・。
しかし、突然の資源ギャップに陥った日本企業はレアアースを使わない新たな製品の開発、リサイクル技術の研究、オーストラリアなどからの供給でこの危機を乗り越えました。つまり、ピンチをチャンスに変えたのです。
安定期には起こりずらい技術等の「革新」ですが危機を克服するために化学変化を起こす場合もあるのです。もしかすると「安定と不変」、「不安定と革新」の方程式が成り立つのかも知れません。
そう考えると、私たち中小企業の経営者にとって人やお金が足りないといった経営資源不足という「経営課題」は・・新たな飛躍という化学反応を起こすための「大切な燃料」とも言えます。
話は変わりますが・・先ほど紹介した日ハムの例のように自社にとって不可欠は人的資源「エースと4番」はFAの補強も良いのですが年月を賭けて大切に育てるのが基本なのかも知れませんね・・。