77号 「憂さ晴らし」
完全版はこちら → 第77号 28年7号 |
世界が注目!
6月23日、英国で行われた欧州連合(EU)に対する国民投票の結果、51.9%との僅差ですがEU離脱という歴史的な決断が確定しました。
世界中の期待と違う決断がなされた背景には「英国民の移民への反感、主権を取り戻すという高揚感、EUに税金が吸い取られるという不公平感、英国外のEUの官僚によって政策が決められる剥奪感。」などがあげられています。
人やモノ・サービスの自由化を原則とするEUに属するかぎりEU圏内の人の排除は出来ません。実際、英国での2015年の純移民の増が33万人にもなり英語が通じ失業率も低く、EU圏内の労働者から見ると魅力的な国です。
投票者の傾向は・・
残留派=高い教育を受けた人、グローバル化の恩恵を受ける人、国際的な経験が豊富な人、一定の高収入がある人、若者層。
離脱派=労働者階級の一部、それほど教育程度の高くない人、グローバル化の恩恵を受けない人、一部の高齢者。
・・と言われています。
今後、英国が良くなるのか否かは分りませんが・・英国のネット上では「16、17歳の声は聞いてもらえなかった・・高齢者の投票が私たちの残りの人生を決めるなんて・・」との悲鳴に近い叫び声があるようです。若者からするとEU離脱で未来が奪われたと感じているのでしょう。
現状への不満
口癖で「世の中が悪い」と言う人がいます。もちろん、その人は現状に不満があるのでしょう・・。一方、私たちが日ごろ接する多くの経営者は「今」をどう改善し、将来どうなりたいかを口にします。つまり、環境が如何に悪くとも現状を変える努力をしているのです。
最近、厄介な事にFacebookなるものが普及しております・・。楽しい話、微笑ましい話がある一方、何かへの批判等々を毎回載せる人がいます。選挙活動なのか・・憂さ晴らしなのか・・いずれにしても無理やり読まされて気持ちの良いものではありません。
イギリス国民もただの憂さ晴らしで離脱に票を入れたのであれば論外・・アメリカでも大統領選で似たような有り様・・憂さ晴らしのツケは結局、自分たちで支払わなければなりません。
格差社会
今回、騒動を巻き起こしたイギリスでは、「労働者階級」と、「中流階級」、「資本家階級」などの階級制度があるようです。
私たちには想像もつきませんが・・着ている服や発音だけで出身・階級が分かるそうで「労働者階級から成功するにはサッカー選手かミュージシャンになるしかない」というジョークがあるくらい格差が大きいのでしょう。
しかし、今回のEU離脱で彼らは自らの階級を乗り越えるというチャンスを失ったのかも知れません。一晩明けて、悪夢から目が覚めたのか・・EU離脱の副作用などが投票後ネット検索の上位に来ているようです。「自分たちの一票がどのような結果を招くか考えなかったのでは」との報道もあります。
日本は格差社会か?
我が国を振返って見ましょう・・東大生の親の年収が高いとのデータがあるように・・確かに子供の学力(学歴)と親の経済力との因果関係はあるようです。ただ、持家か・・借家か・・程度の差はあったとしても一般的には政治家や財閥などの特別なケースを除いて階級の承継という制度は我が国には存在しないように思います。
私の経験でも普通(労働者階級?)の家で育った人が立派な経営者になり世の中で活躍しています。学歴や出身地、親の経済力に関係なく事業を成功させることが可能な日本に生まれて本当に良かったと思います。
「世の中が悪い」を口癖にするのではなく「自分は恵まれている」、「目の前にチャンスが転がっている」、「あともう少しだ! 頑張ろう」そう思える人たちと一緒に仕事をしたい・・そう願っています。