かわら版:トヨタ生産方式から学ぶ 3

デトロイト市が7月18日、財政破綻しました。GMが本社を構えるなど、アメリカの自動車産業を象徴する大都市として知られていますがピーク時185万人いた人口は68万人まで減少し、税収不足による慢性的な財政難、行政サービスの低下と治安の悪化などにより、人口流失に歯止めがかからず今回の事態に至りました。

破綻時の負債の半分は元職員の年金と医療保険を支払うための借金のようです。問題を放置する言い訳として「仕方がない」と言う言葉を口にする人がいますが、デトロイト市の歴代の幹部はそのような人たちだったのでしょうか?

家族や従業員、得意先など多くの人々が経営者に期待しています。その期待に応えるため、会社が抱える問題を速やかに解決しましょう。

そこで、前回に引き続き、トヨタ生産方式から問題解決のヒントを考えましょう。

「なぜ」を5回繰り返す

トヨタでは、一つの事象に対し「なぜ」を5回繰り返します。たとえば、機械が動かなくなったと仮定します。

  1. 「なぜ機械が止まったか」・・オーバーロードがかかって、ヒューズが切れた
  2. 「なぜ、オーバーロードがかかったか」・・軸受部の潤滑が十分でないからだ
  3. 「なぜ、十分に潤滑しないか」・・潤滑ポンプが十分にくみ上げていないから
  4. 「なぜ、十分にくみ上げないのか」・・ポンプの軸が摩耗してガタガタだから
  5. 「なぜ、摩耗したか」・・濾過機が付いていないので、切粉が入ったから

もし、ヒューズや軸の交換やだけで済ましていたら、数か月後に同じトラブルが発生します。このように「なぜ」を5回繰り返す事で、ものごとの因果関係とか、その裏にひそんでいる原因、本当の問題が浮かび上がります。

問題を徹底的に解決する事でムダの発生を防ぐ事が可能です。ムダの排除ができれば業績が良くなり、給与として社員に還元する事も出来ます。また、雇用が拡大し、税金の支払いを通して地域や国家財政に良い影響を与えれるかもしれません。

破綻したデトロイト市が属するミシガン州の知事は、財政破綻は「60年かけて作りだされた問題だ」と歴代の市当局を批判しています。過去に問題を解決しようとする幹部がいたら破綻を回避する事が出来たかもしれません。

毎日の積み重ねが大事

我が国の99.7%を占める中小企業が経済再生の重要な鍵を握っています。そのためには、今、自社が抱えている問題の根本的な原因が何なのかを考えて見ましょう。

会社全体で「なぜ」を5回繰り返す習慣を身に着けたいですね。小さな積み重ねが、会社を変えるかも知れません。

経営者一人で「問題解決」を考えるのではなく、社員を含めたチーム(組織)全体で力を合わせましょう。

その第一歩は、会社が抱える問題のどこから解決しなければならないかを自覚する事ですね・・。